あるばとろす亭

乙女ゲームとテニミュと2.5次元舞台など。

舞台刀剣乱舞 維伝の好きなところ、脇差の話

こんにちは鳥です。

遙か二十年祭のあとから舞台刀剣乱舞にまっ逆さましてました。奈落の底から見上げた空が青かった。

今回は維伝の好きなところを書きます。
ネタバレを含みますのでお気をつけください。
観たことある前提で書いておりますので、どうか持ち前のパッションでご覧ください。


さて主演(メイン)の陸奥守吉行と和泉守兼定は活劇、ミュージカルでも対立構造が描かれていますが、維伝でももれなく出てきます。
舞台では、刀にこだわる和泉守兼定が、勝つために手段として陸奥守吉行の銃で発砲するところはかっこよくて鳥肌ものですね。でも、戦いではなんでもありな新撰組なんだから、銃を使うのだっておかしくないのに、あの和泉守兼定が発砲するからいいんですよねー。いろんな意味で、舞台ならでは。

で、その和泉守兼定といえば堀川国広とばかりに、かれも登場します。
最初はお馴染みのコンビだからかな、と思っていたのですが、実は肥前忠広との対比で登場してるのではないかを推したくてこちらを書いております。

ご存じの通り、肥前忠広のもとの主は岡田以蔵です。この舞台では、朧になってからの「なんちゃあないなんちゃあない……」という、全然大丈夫そうでない、自分に言い聞かせる声が悲痛な、「人を斬らねば生きていけない」という人物として描かれています。
かれは後半「人斬りである」ということを他ならぬ刀剣男士の肥前忠広に肯定され、逆説的に自己を確立しやっと自分の本懐を知り遂げるというところが私にストライクを打ち込みました。
「龍馬! 会いたかったー!」1B!
「なんちゃあない……」1S!
「死にとうない!」2S!
「峰打ちじゃ!」3S! バッターアウト! でしたね。(突然の野球表現)なんで私がバッターなんだよ。

話を戻します。
一方、堀川国広は「悪い、僕も結構邪道でね!」「闇討ち、暗殺。お手のもの」と人を斬ることに躊躇いがない、と言いますか、完全に割りきっているように思えるんですね。そこがゲームで使っていても信頼できて、もと主が土方歳三の刀だなと感じます。目的のためなら手段を選ばない。
一方、肥前忠広は「斬りたいわけじゃねぇんだ……斬りたいわけじゃねぇんだよ」と逡巡したり、葛藤したり。人斬りと名高いはずのかれは割りきれずにいる。

陸奥守吉行といえば和泉守兼定和泉守兼定といえば堀川国広」というお馴染みのセットではなく、手段が目的になりつつあった岡田以蔵と目的のためなら手段を選ばない土方歳三の対比をなすために、堀川国広は出陣したのではないか?
物語の奥行きがすごい! なんてものじゃないですね。これが打合せや脚本を二十稿重ねた成果。勝手に私が言ってるだけですが、より深く感動したという感想でした。

読んでいただきありがとうございました。